電子書籍が読みにくいと感じる理由

紙の書籍に慣れていると、電子書籍が読みにくいと感じる場合があります。同じ文字情報のはずなのにどうして違いが出てくるのか、その理由を解説します。

解像度が低い

紙に印刷された書籍の場合、かなり小さな文字でもドットを認識することは不可能です。

現在のプリント技術でドットが出るようなサイズの文字は、そもそも印刷では使われることがないため、紙の書籍に慣れていると「文字は滑らかに表示される」と体感で知っています。

では、電子書籍はどうでしょうか?

スマートフォンで電子書籍を見る場合、例えば最新のApple iPhone 13 Proはディスプレイのピクセル密度は460ppiです。1つ1つの点を認識できる分解能力は300〜440ppiと言われているので、Apple iPhone 13 Proのディスプレイではほとんどピクセルを認識できません。

一方で、シャープのエントリー向けスマートフォンであるAQUOS wishは、ディスプレイのピクセル密度がApple iPhone 13 Proと比較すると295ppiとかなり低く、パッと見たときは綺麗でも、小さい・細かい文字を見ると粗が発生します。

そうした文字の粗さから「電子書籍が読みにくいと感じる」ことはあるでしょう。

表示サイズが小さい・大きい

紙に印刷された書籍を読む場合は、私たちは「文字が大きい・小さい」「本が大きい・小さい」ということを考えません。なぜなら、出版社側が最適と考えられるサイズで書籍を販売するからです。

しかし、電子書籍の場合は、どんなサイズの画面で読まれるかは不明です。画面の小さい電子書籍リーダーで読む人もいれば、大型画面のタブレットで読む人、縦長画面のスマホで読む人もいるでしょう。

特に、スマートフォンは画面サイズが小さいので、文字が小さく表示されてしまい、読みにくいと感じてしまうでしょう。

我々は小さい頃からA4サイズ、B5サイズといった文字を読むフォーマットのサイズ感、その大きさに最適な文字サイズを身体が覚えてしまっているので、そのフォーマットと大きく異なる画面で文字情報を読むことに違和感を感じてしまうのは仕方ありません。

段落構成が紙版と違ってしまう

電子書籍の中でも、雑誌や漫画などの絵・写真がメインの書籍は、紙出版物の出稿データをそのまま画像ファイルに変換しているため、段落構成の違いなどがありませんが、小説などの文字がメインの電子書籍は、リーダーやアプリで設定する文字サイズや行間の設定によって、段落やページ構成が大きく変わってしまいます。

そのため、もともと著者や出版社が考えた文章構成と違いが出てきてしまうため、「読みにくい」「頭に入ってこない」という可能性はあります。

ベストヒットセラーになるほど、段落やページの切り替え、行間を大事にしますので、そうした作者の意図を無視したページ構成は、「読みにくい」と感じてしまうでしょう。

ディスプレイの品質の違い

最近はスマートフォンもタブレットも高性能なディスプレイを搭載していますが、「文字や写真を表示させる」ことに特化した紙と違い、ディスプレイは動画やアニメーション、Webサイトなど様々なものを表示させるためのものです。

つかり、必ずしも文字が読みやすいように設計されているわけではなく、さらにメーカーによってディスプレイの品質にも差があります。

こうした違いから、その人の環境によって「電子書籍でも全く問題なし」という人がいたり「電子書籍が読みにくい」という人がいる、不思議な状況が起こってしまうのでしょう。


ここまで見てきた通り、電子書籍は読む環境が紙とは大きく異なり、しかもユーザーによっても環境が異なるため、人によって「電子書籍は読みにくいと感じる」ケースが出てくることがわかります。

電子書籍でも全く問題ないという人も少なからずいますから、もし電子書籍が読みにくいと感じるのであれば、電子書籍リーダーや大画面のタブレットを試してみたりして、電子書籍を読む環境を変えてみてはいかがでしょうか?